乳酸菌とは
最近アトピーに乳酸菌が効果があるとテレビや雑誌などで紹介される事をよく耳にします。乳酸菌とは乳酸を作る能力がある菌の総称で、一般的に動物原料の乳酸菌(牛などの動物性の原料をエサとするもの)と植物原料の乳酸菌(野菜やコメなどの植物性の原料をエサとするもの)に分けられます。
乳酸菌は、昔から様々な発酵食品でヒトの生活と深くかかわってきました。チーズやヨーグルトなどの乳製品の他、しょう油やみそ、キムチなどの発酵食品はそれぞれ乳酸菌が利用されていて、美味しくするだけでなく、乳酸を生成することで保存性を高める役割も担っています。
日本酒などの清酒の醸造にも乳酸菌が大きな役割を果たしていますが、乳酸菌のすべてを未だ把握しているわけではありません。微生物の安全性を科学的に証明することは容易ではないですが、昔の人は経験を通して乳酸菌の安全性を認識してきたのでしょう。
乳酸菌は、ヒトの腸にも生息しており、腸内に生息する細菌は100兆個、1000種以上と言われていますが、そのほとんどは大腸に生息しています。重量はなんと1㎏以上もあり、乳酸菌もビフィズス菌とならんで、腸内の主要細菌群に 数えられ、健康に欠かせない菌となっています。
乳酸菌の働きは
色々な食品に利用されている乳酸菌ですが、その働きは多岐にわたりますが、主には2つあります。プロバイオティクスの一部として乳酸菌は人の健康維持に役立つような働きと食品の保存性を高める働きがあります。
プロバイオティクスは最近TVや雑誌のメディアで取り上げられているので、ご存知かもしれませんが、ギリシャ語で生命の益になるものを意味する言葉です。腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを調整して、身体に有益な働きをしてくれる生きた微生物のことですが、乳酸菌やビフィズス菌はプロバイオティクスの一部です。
人間の免疫システムは、腸の近くに集まっていて、乳酸菌には腸の悪玉菌を減らす役割を果たしてくれます。乳酸菌はこの免疫システムを刺激することによって、風邪や肺炎、結核など、多くの感染症の予防に効果があるという事が研究の効果でわかってきています。また、1日5,000個ほど生成されるという発がん物質の分解する効果もあるのだとか。最近では、花粉症やアトピーなどのアレルギーに良いとされる菌も次々に発見されています。
次に、食品の保存性を高める働き(バイオプリザベーション) として乳酸菌が、独特の風味と貯蔵性を高めていることは知られていますが、代表的な食べ物として漬物、キムチやサワークラウトなどがあります。 日持ちの良さは乳酸菌の働きによるものです。
ビフィズス菌と乳酸菌の違い
ビフィズス菌と乳酸菌の違いですが、広い意味でビフィズス菌は、乳酸菌の一種とされることもありますが、生物学的な違いがあります。ビフィズス菌も乳酸菌も、人間の腸の中に存在する善玉菌で整腸作用という面では同じ働きを持ちます。
ビフィズス菌の定義
ビフィズス菌は、乳酸と酢酸を作り出す細菌です。ヒトの腸内の善玉菌の99.9%を占め、その数は乳酸菌の約100~1万倍にあたる1兆~10兆個といわれています。酸素があると生育できないので、乳酸菌のように自然界で幅広く生息することはできない特徴を持ちます。
乳酸菌の定義
乳酸菌とは上述しているので重複になりますが、乳酸を作り出して身体によい働きをする細菌の総称です。腸内では、主にビフィズス菌のサポート役となり、ビフィズス菌が生息しやすい環境をつくる役割を担っています。腸内に棲む乳酸菌の数は、善玉菌の0.1%以下の1億~1000億個。ビフィズス菌の1万分の1~100分の1の少なさです。ヒトや動物の腸内以外でもビフィズス菌と違い、自然界に広く生息出来ます。
乳酸菌は糖を分解して、乳酸を多く作り出す菌ですが、ビフィズス菌は乳酸以外にも強い殺菌力を持つ酢酸やビタミンB群、葉酸を作り出す点が大きな違いになります。